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IGUSA High School Alumni Association
2024-11-01

猛暑日-お天気百話⓾

 2024年、関東地方では7月18日頃に梅雨明けが発表(気象庁)され、本格的な夏が到来しました。その後は、みなさんもご承知の通り、連日のように暑い日が続きました。この暑かった2024年夏の特徴を練馬区立石神井松の風文化公園にあるアメダス練馬で観測された気象テータをもとに見てみることにしましょう。


 図1.アメダス練馬における2024年6月1日から9月30日までの日最高気温(赤線),日平均気温(黒線),日最低気温(青線)とその平年値の時間変化.図の下部には,6月から9月までの気温に関する統計値を示した(気象庁HPより作図).

 図1は、2024年6月1日から9月30日までの日最高気温(℃)、日平均気温(℃)、日最低気温とその平年値(℃)の時間変化を示しています。太い線は2024年のそれぞれの気温の日値を、細い線はその平年値を示しており、この2線に囲まれた薄赤の部分は日値が平年値よりも高かった日を、薄青の部分は平年値よりも低かった日を示しています。
 この気温の変化の図から、「2024年の夏は異常に暑かった」ことが一目でわかります。7月15日前後の1週間を除いたほぼ毎日、日最高・日平均・日最低の気温が平年よりも高く、7月上旬、7月下旬、そして9月中旬から下旬には、平年よりも5℃以上高い日が頻繁に出現しました。図の下の数値が示すように、各月の日最高・日平均・日最低気温の平均値が平年値よりも2℃から3℃も高かった月が頻繁にあるのは、まさに、異常としか言いようがありません。
 また、赤破線は気温が35℃、青破線は気温が25℃を示すラインで、日最高気温が赤破線以上の日は「猛暑日」、日最低気温が青破線以上の日は「熱帯夜」と呼びます。今年、アメダス練馬では、「猛暑日」を35日、「熱帯夜」を38日ほど観測しましが、これは、最近(2010年~2023年)の値と比較すると、「猛暑日」は2倍以上、「熱帯夜」は約1.5倍になっています。このため、この猛暑の影響は、日中のクラブ活動の制限や夜間のエアコンのつけっぱなしなどに現れたのではないでしょうか。さらに、「猛暑日」の増加が、「熱帯夜」と比較して大きかったこともこの夏の特徴です。なお、「暑い日」を示す用語として、ほかに「夏日」(日最高気温が25℃以上)、「真夏日」(日最高気温が30℃以上)があり、これらの用語を、「猛暑日」、「熱帯夜」とともに頭の片隅に記憶しておくと、来年以後の暑さ対策のために便利だと思います。
 2010年から2024年まで、日本全国の気象観測地点が観測した「猛暑日」ののべ日数の変化を示したのが図2です。「猛暑日」は7月上旬から8月下旬まで増加しています。とくに、2018年、2023年、そして2024年の7月下旬から8月下旬までの日数の増加のスピードは、他の2010年以降の年と比較して大きくなっていることがはっきりとわかります。さらに、今年、2024年はその増加が9月中旬まで続いており、「猛暑日」はのべ10,000日以上に達しました。


 図2.全国における「猛暑日」の地点数の変化(気象庁HPより作図).

 このように、今年の夏は、「猛暑日」が9月中旬まで出現し、「盛夏」が、まさに7月上旬から9月中旬まで続きました。このため、みなさんも秋に出荷される野菜の価格の高騰などで日常生活に大きな影響を受けたのではないでしょうか。

ペンネーム:つくばのトリさん
井草高校27期D組の卒業生です。
地図と時刻表をもって旅行することが好きで、高校時代は山岳部に所属していました。
その後、大学で気象・気候学の面白さを知り、その延長線で気象・気候に関係する職業に携わったので、茨城県のつくばに住んでいます。
これからも、どうかよろしくお願いします。
詳しくは、私のブログ「圃場管理のための気象のお話」の「著者プロファイル」をご覧ください。

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