グリーンランド~前編-お天気百話③
前回まで井草同窓生の皆様にとって身近な気象についてお話ししましたが、今回からは私が研究のために訪れた海外の気象についてお話しします。
今回と次回は、2回にわたってグリーンランドの気象にお話です。みなさま、お楽しみください。
〇グリーンランドの町、イルリサット
ここでは、研究プロジェクトに参加するために訪れたグリーンランドのお天気についてお話をしましょう。この研究プロジェクトは、気候変化がグリーンランド氷床(ひょうしょう)に及ぼす影響を現地観測から明らかにするものです。私は、このうち1991年7月1日から7月25日まで、グリーンランド氷床上での気象観測に参加しました。氷床というのは、広い土地を覆(おお)う厚い氷のことです(環境省南極キッズ)。
グリーンランドは、大西洋北部に広がる世界一大きな島で、その面積は216万6千平方キロメートル、日本の面積の約5.7倍に相当します。島の全面積の約80%は厚い氷で覆われており、人々が暮らすことができる地域は限られており、町が海岸線に点在しています。
私たちは氷床上の観測地点へ行くために、グリーンランド西海岸中央部の町イルリサットという町に3日間、立ち寄りしました。この町は北極圏にあることから年間を通じて平均気温は-5.4℃ですが、夏になると最高気温が15℃以上となり(CLIMATE DATA)、雪はほとんど見られません。町の人口は約4,500人(1991年現在、GUIDE TO ILULISSAT)ほどで、当時はエビとカラスカレイの漁業が主な産業でした。このカラスカレイは体長が50cm~1mもあるグロテスクな魚で、町のいたるところに干してあったことを覚えています。現在では、近くにがある「イルリサット・アイスフィヨルド」をメインにした観光業でも栄えているそうです。イルリサットの町ではかわいいカラフルな家々が建ち並び、氷で埋め尽くされた「イルリサット・アイスフィヨルド」の先端では、氷床を作っていた氷が崩れ、氷山となって海に流れ出す光景が広がっています。
(グリーンランド・イルリサットの町の風景 1991年6月28日 著者撮影)
(氷で埋め尽くされたイルリサット・アイスフィヨルドと、氷山となって海に流れ込む氷床の様子 1991年6月28日、7月1日 著者撮影)
ペンネーム:つくばのトリさん
井草高校27期D組の卒業生です。
地図と時刻表をもって旅行することが好きで、高校時代は山岳部に所属していました。
その後、大学で気象・気候学の面白さを知り、その延長線で気象・気候に関係する職業に携わったので、茨城県のつくばに住んでいます。
これからも、どうかよろしくお願いします。
詳しくは、私のブログ「圃場管理のための気象のお話」の「著者プロファイル」をご覧ください。