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IGUSA High School Alumni Association
2024-02-21

お天気百話⑤

桜の咲く頃

 3月に入ると、天気予報や気象情報では桜の開花日の話題が多くなります。気象庁生物季節観測によると、昨年(2023年)東京では3月14日に開花、そして3 月22日に満開になったとのことでした。この開花・満開の発表の基準となる桜は、東京都千代田区九段北にある靖国神社の境内にあるソメイヨシノです。また八重桜は桜(ソメイヨシノ)より2週間ほど遅く、葉をつけた状態で開花します。昨年、私たちの母校である井草高校の校門脇にある八重桜は3月28日頃に開花し、入学式があった4月7日は満開だったそうです。
 ところが、私が井草高校に入学した1972年では校門脇の八重桜の下で入学の記念撮影をした記憶がありません。当時、靖国神社境内の桜の開花は3月28日、満開は4月1日とのことですから、入学式当日は八重桜が開花する前だったのでしょう。
 このように、桜の開花と満開の時期は年によって変化します。先ほど気象庁の生物季節観測からわかったさくらの開花・満開日を詳しく調べた結果がつぎの表です。


表.東京都千代田区靖国神社のソメイヨシノの開花日と満開日の変化(気象庁生物季節観測による)

 これをみると、桜の開花日と満開日は大きく変化していることがわかります。そして2000年以降、開花日と満開日が早くなっている傾向がみられますが、これは温暖化がその原因でないかと考えられます。これから想像すると、校門脇の八重桜は卒業式に開花ということもあるかもしれません。しかし桜の開花には、一定の低温を経験することが必要であり、冬の寒さが不十分であると開花が遅れることがあるともいわれています(参考文献)。ですから、冬が今以上に暖かくなっても、桜の開花はそう単純には早くならないようです。
 さて、将来の井草高校の卒業式の時、校門脇の八重桜は開花しているのか、いないのか。

PS.3月下旬の卒業式が多い東京の大学では、桜(ソメイヨシノ)の下で卒業写真を撮っていたとのことです。私たちの時には考えられない光景です。

ペンネーム:つくばのトリさん
井草高校27期D組の卒業生です。
地図と時刻表をもって旅行することが好きで、高校時代は山岳部に所属していました。
その後、大学で気象・気候学の面白さを知り、その延長線で気象・気候に関係する職業に携わったので、茨城県のつくばに住んでいます。
これからも、どうかよろしくお願いします。
詳しくは、私のブログ「圃場管理のための気象のお話」の「著者プロファイル」をご覧ください。

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